偽デジタル写真屋日報 出戻り

日記鯖〜はてダ〜So-net Blogを経由して恥ずかしながら戻ってまいりました。

良い意味でのカタログ誌仕事:CAMERA magazine 2014/05

エイ出版のカメラ関係書籍は基本的にカメラが主語で写真は二の次感が高いので嫌い(写真はたくさんセレクトしてでかく見せてるんだけど、それがカメラ話するためのマクラに使われるんですよねここの本)なんですが、今回のカメラバッグ特集はカタログ的にモノの話をする媒体と非常に相性が良いなあと思わされて買ってきちまいました。

従来の写真雑誌が「あの人のカメラバッグの中身」って特集を組んだら各地で活躍する写真家のバッグを特集ってなりますが、この雑誌の手にかかるとまずまっさきに出てくるのが石井正則さん(写真にのめり込んだ結果暗室作って大判に手を出しちゃったタレントさん)。いや確かに写真家ではないけど写真好き芸能枠の人にするにもちょっと、みたいな人をセレクトしてくるのはよく見てるなあと。

他にも一線級の写真家さんに混ざって写真の好きな会社員さんだとかカメラ店のひとだとか「カメラを常時持ち歩きたいけど普段それ以外の荷物の方が多いひと」を多くセレクトしているため、普段の荷物にどうやってカメラを紛れ込ませるか苦闘している写真趣味会社員おじさんの参考資料としてなかなか使えそうです。おすすめ。

カメラマガジン2014.5 (エイムック 2845)

カメラマガジン2014.5 (エイムック 2845)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: エイ出版社
  • 発売日: 2014/04/19
  • メディア: ムック

ヅカファン漫画の形を借りたオタク生態あるある漫画。はるな 檸檬「ZUCCA×ZUCA」

ZUCCA×ZUCA(1) (モーニングKCDX)

ZUCCA×ZUCA(1) (モーニングKCDX)

  • 作者: はるな 檸檬
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/07/22
  • メディア: コミック

表紙と装丁を見てもなんの漫画だか分からんかったのですが、開いて2秒で納得。ヅカこと宝塚歌劇のファンについての生態について淡々とまとめられた漫画です。モーニング本誌を全然おっかけてなかったんで未チェックでしたがもう5巻まで単行本が出てるんですな。

で、この話。宝塚ファンの生態を記録してる形を取ってこそいますが、「宝塚」はあくまでもお題の一種に過ぎず、「アイドル」でも「観劇」でも「バンド」でもなんでも置き換えて読めます。

ので「ちょっとなんかにのめり込んだことがあるひと」が読めばだいたい他人事として読めなくてゲラゲラ笑ったあとで胃になにか刺さった気分を味わえてよろしいのでないでしょうか。

ちなみにWeb上でも読めますんで、単行本買う前にいちど目を通してみるのもアリかと。

写真版"プロフェッショナル 仕事の流儀"か。久門易「ワンダー・フォトグラフィー」

ワンダー・フォトグラフィー (コマーシャル・フォト・シリーズ)

「月刊コマーシャル・フォト」で連載されていた企画の書籍化。顕微鏡写真や航空写真にはじまり、標本写真やパノラマ写真・果ては公営ギャンブルの判定写真などといった「ちょっと特殊な写真業界」を取材してまとめた本です。国土地理院アジア航測の赤色立体地図の記事に釣られてつい購入。

写真業界というと広告だ報道だというところがクローズアップされがちですけど、「写真を使って商売をする業界」としてとらえ直すとかなり広いジャンルがあるわけですよね。

使うカメラやレンズなども多種多様。自作もあるし数年工事してようやく完成する望遠鏡なんてのも出てきます。これを一冊読むと一眼レフやコンパクトデジカメの些細な性能比較なんてのがすごく小さいことに見えて「こまけえこたぁいいんだよ!」って気分にもなれるのでカメラ道楽に煮詰まった人のリフレッシュにもいいんじゃないでしょうか。

本自体は「一見開きでひとつの会社についてまとめる」という形式でまとまっているので適当に開いて読み進めることもできるしちょっと息抜きにぱらぱらめくるのにも向いてます。項目によってはもうちょい掘り下げて読んでみたいかな?と思える部分もありますけれど、全体をざっと俯瞰して理解するハンドブックとしてとらえればちょうどいい分量とも言えるでしょう。おすすめ。

「SWITCH特別編集号2013 PENTAX Q10で写真はもっと面白くなる」

SWITCH特別編集号2013 PENTAX Q10で写真はもっと面白くなる

デジカメの特定機種向けムック本の類を買うの、もしかしたらこれが初めてかもしれないなあと思いながらこんな本を買ってきました。 内容をひとことでまとめると「第一線の写真家さんにPENTAX Q10を使ってもらった」となるのですが、実際は表紙・巻頭に掲載された荒木経惟「写狂老人A非日記 qARADISE 」におまけとして複数企画がついてくるというくらいの勢いの構成になっており、他の写真家さんをアラーキーさんが食いつぶしているというなんだか凄い本になっております。カメラのPR色もほとんどないんですけどそこらへんPENTAXさん的にはよかったんですかね…。あまりにも写真家の色が強過ぎてカメラのムックによくある「このカメラを買ってこの本の通りにすれば同じような写真が撮れる!」みたいな気が全然しませんよ。 ともあれ。この手の本にしては630円とかなり安い値段ですし、ZINEを買い求めたらおまけにカメラの宣伝がついてきたくらいのPR濃度の薄さですんで店頭で見かけたら軽い気持ちで買ってみてもいいと思いますよ。荒木経惟さん好きなひとでもそうでないひとでも。

一見カメラ女子高生萌え漫画、しかし。あさのゆきこ「閃光少女」

閃光少女1 (フラッパーコミックス)

閃光少女1 (フラッパーコミックス)

コミックフラッパーで連載されている高校写真部が舞台の写真漫画。 定期的に続けている某PodCast(気付いたら250回越えてました。どんだけしゃべってたんですか俺)で作者のあさのさんと話をする機会があって、こら予習しないといかんと思い買ってきたらたいへん面白かったので紹介。 内容をおおざっぱに 高校の写真部顧問を依頼された元カメラマン志望の兄ちゃんが後ろ向きな気分で顧問を引き受けて高校生のまぶしさにやられるまんが。 …というわけで、写真学校出てんのに他業種行った人にちょおおすすめです。刺さりまくるので(ぇー これだけじゃわかんねえよ!って方向け捕捉 カメラ・写真漫画というとカメラの細部表現にえらいこだわってみたりハードにカメラマン生活を描いてみたり女子高生ゆるふわ萌え一辺倒にいったりと割とテンプレ化しがちなところがあるわけですが、この話はどこにも寄りかからないバランス感がとてもいいなあと思うのです。 いや確かにヒロイン格に女子高生が複数出てきたりしますよ。でもあんまあからさまに萌え強調が入る訳でもないし、主役の兄ちゃんも挫折感がすごく高いめんどくさそうな兄ちゃんなんだけど撮るべきところはちゃんと撮れる人であったりもする。人としてちゃんとしてるんで安心して読めます。 あと、テクニカルなところの考証がとれてるのか撮影に関するディティール(撮影マニュアル的な意味でなく)がちゃんとしてるのがえらいなあと。「カメラの操作」じゃなく「写真の撮り方」を表現するって難しいっすよ。やっぱりカメラが主題になるとさあ、こうめんどくさい読者が(以下自粛)。 そうそう、いちばん大事なところ。「高校写真部の成長」と「挫折しつつもまたカメラを握って撮りはじめる主人公」をちゃんと描けてるので好感。つか、ここがちゃんとしてるので話として入りこめるんですよね。 現在何種か出てる写真を題材にした漫画の中でも頭ひとつ抜け出てると思いますんで、ソレ系方面(どれだよ)にはひいき目なしにおすすめ。 余談:ヒロインが持ってるカメラがCONTAX N1つーのが非常に渋いなあと思いました。機材話を避けつつ持ってるのがそれかよ!みたいなこのセレクト。すげえバランスだよなあ…。