話の発端
iPhoneのカメラは13で『写実』を捨て『映え』を選択したのか「写真はサムネとして七色に輝く小さな宝石として楽しまれる」 - Togetter
最近のiPhoneで「写っている」ものがすでに「写実」を通り過ぎて「絵を描いている」って話がbuzzっていて、まあ実際最近のスマートフォンの出力って相当トーンをいじったりHDRがっつり効かせたりするよなー、と斜め読みしてはてぶにもそんな感じのコメント書いたわけですが。このまとめの主題はどっちかというと、後半でからぱた氏が語るところの
雑に言うとCG掴まされてんだよな。白飛び黒つぶれが欲しい時には普通に困るし、画面内に写り込んだ小さい文字がノイズや光学的に解像できる限界の近傍にあると画像処理エンジンが「潰れそうな大きさの文字だ」って判断して「なんか文字に見える図像」を作り出す。
— からぱた (@kalapattar) 2022年9月12日
これ。「内部で現像するときに細かい線とか見えてないものをむりやり描いてね?」って話ですな。
超解像を通り越した謎解像は「写実」と呼べるのか問題
最近のAdobe CameraRAWにある「スーパー解像度」とか、DxOのDeepPRIMEみたいな「超解像」って、一応センサーが受けた像を基準にして、実際に写ってる線をクリーンにするとかそういう方向で見えを強化しているわけですよ。で、それを通り越して「文字っぽいものが見えてるので文字としてデモザイクする」って話になると、すでに写真というよりも今話題のAI絵描きに近いアプローチになってるんでないかと。
いや確かにレンズ通してセンサーに入ってるのは「素材」なんだからいい感じの「写真」に寄せた出力がボタン一発で出てくれればそれはそれでありがたい。とは思うんですが、さすがに細部の像そのものを描き直すというのは考えもつかなかった。マジか。
そういえば:美顔モードは「写実」ではないよなあ
そういえば、自撮りモードなんかもかなり顔をいじってくる機種がありますやね。肌色を良くしたりするあたりはまあいいんだけど、肌のキメが細かくなったりなんとなく輪郭線が変わったりするとさすがにおいちょっと待て。とはなる。でもこの辺がアリなんだとすれば遠景の文字が多少変わったとしても大勢に影響はないと言える…のか?なんかわかんなくなってきましたね。
許せる画像処理、許せない画像処理
たぶんここらへん、人によってだいぶ差があると思うんですよ。
スマートフォンで写真撮るときには「だいたいボタン一発でいい感じに写ってくれればヨシ!」なわけで、その「いい感じ」さえクリアしてればあんま不満もないわけですが、一昔前なら
- 露出が合ってて
- ピントが合ってて
- 色がおかしなことになってない
程度でクリアできてたのがHDRとか強めの補正によって
- レンズの歪みが全然ない
- 影が強くない
- 色が盛られている
- 飛び潰れがない
- 実際よりも肌艶がいい
あたりが追加されて、さらにコンピューティショナルフォトグラフィーの演算力で
- なぜか顔の吹き出物が消えている
- なぜか顔の輪郭線がすっきりしてる
- なぜか遠景までくっきりしてるけど看板の文字が謎日本語
あたりに到達しつつあるのがいまここ。という理解でいいのかなあ。たぶん最初の3項目だけならあんま揉める要素はなかったと思うんですけども、2段階目あたりでちょっと違和感を持つ人が出始めて、3段目でおいちょっと待てになって現在に至ると。
レンズの歪みとかは「きれいに補正できるように歪んでいるレンズを設計して、簡素な計算ですっきり補正」ってアプローチもあるんでそんなに否定する要素もないと考えます。
が、レンズ抜けてセンサーに入ってる像を直接いじっちゃうのは、どうなんでしょね。ほぼリアルタイムでレタッチかけちゃうタイプのカメラアプリに慣れるとそこまで違和感なくなるのかなあ。わからんなあ。スマホのカメラアプリ屋さんはどう考えてるのか、一度聞いてみたい気はします。オチはない。