偽デジタル写真屋日報 出戻り

日記鯖〜はてダ〜So-net Blogを経由して恥ずかしながら戻ってまいりました。

フィルムで写真を撮ることを見直す2024

ここまでのあらすじ

昨年の終わりぐらいから突発的にフィルム熱が発生し、 だいたいフィルム機材を処分した我が家にフィルム機材が数台ほど生えました。 この突発的熱狂具合は諸々冷静に見返してみる必要があるな?と思い、ここんとこのいきさつをざっとまとめてみる次第。

そもそもなんでフィルムを使わなくなったんだっけ

感材代がかからない

デジタルカメラが普及する最大のきっかけでもありますよね。 実際シャッターを押す心理的障壁はなくなりましたし、 その結果「押せなかったことによるエラー」は激減しました。

現像待ちがない・現像代がかからない

特に報道・商業の人だと「ラボに出して上がりを待つ」がなくなったのは大きいですよね。 あと報道の場合は電送が圧倒的に速くなりました。

ハンドリングが面倒

特にPCに連携させようとした場合、撮る→現像する→スキャンして取り込むというプロセスが地味に負担になります。 また、紙焼きで完結させようとした場合も作品向けだとラボをとの打ち合わせとか試行錯誤が必要で。

でもさ、今のデジタルカメラは高くなったじゃん?

業務で使うレベルの機材って、いつの間にかボディが「とりあえず50万持ってきて」って価格帯になってるじゃないすか。

レンズ合わせて初期コストに100万吹き飛ぶとかも珍しくないっすよね。ちょっとした中古車買えるぞ。

で、初心者向けミラーレスのキットも新品アンダー10万で揃えるのはなかなか難しく、とりあえず20万弱あれば選択肢が出てくるみたいな状態になってきつつあり。たけえよ。

機材代を回収するまでのライン、高くね?

となると、今まではなかったこういう疑問が出てくるわけです。買ったカメラはシャッターユニットが死ぬまで押しまくるぜ!って人であればボディに50万突っ込んで5万枚なり10万枚なり撮ってりゃそりゃ回収もできますけど、世間に流通してる「ちょっと綺麗な中古」って、だいたいシャッター回数数千ですよ。そうやって考えると、20万とか突っ込んでも回収できてなくね?と、なるわけで。

デジタルのデータハンドリング、地味にきつくね?

単純に数が増えたことによりセレクトなり見返す時間が増えてきつい・セレクト後に仕上げするのがしんどい。そして増えていくストレージのお守り。ディスク1発で数TBとか確保できるようになって比較的部屋の面積は食わなくなりましたが、今度は逆にディスクが死んだときのダメージがこわいし、じゃあクラウドに放り込んでしまえ!というのもあとで参照するのがしんどかったり探しだすコストが馬鹿にならない。ましてやサービス終了時にデータ引出すの、何日かかります?とか、そんな話すら出てくるわけですよ。

もしかして:フィルムにワンチャンあるのでは

で、ここに戻ると。確かに材料はクソ高い。現像も安くはない。でもとりあえず物理で残ってちゃんと保管しとけば存在を忘れられるじゃないですか。火事・水没の心配は残りますけど、少なくとも「いつ飛ぶかわからん」という不安よりはまだマシな気、しません?

フィルムのカメラ自体は安い

これ。「限定の綺麗なライカがほしい!」とか「やっぱりCONTAX T3が!」とか言い出さない限り数千円〜2・3万円くらいで本体の調達はできるし、「ちゃんとメンテされた機械式カメラが」という需要であっても、5万円前後出せば整備済みのNikon F2とか買えます。あと知人を伝って手に入れるルートもありますわね。レンズ?んなもん標準か広角1本ありゃいいでしょ。余裕あれば望遠1本くらい足してもいいけど、どうせ縛り要素が強いんだからレンズだって縛ってみてもいいんすよ。なんだったらレンズ固定式機械カメラとか行ってもいい。格好いいぞ!たまに失敗するけど!

また、限界を狙いたいなら1000円持ってハードオフジャンク箱から綺麗そうな不人気機種を拾ってくるという手もあります(本当に死んでるラインを見極める技量が必要なのでおすすめはしませんし、当然電池だのストラップだのの追加コストはかかります。マジ茨の道)。

そもそも、そんなに撮る?

で、ここ。「ちゃんとした写真を撮りたい」という気持ちでふつーのひとが1日うろついてとりあえず400枚撮るとか、案外できそうでできないんですよ。数撮るのってスキルの部分もあるんで。

それならばですよ、ちょっとした旅に出るときに、フィルム3本持って丁寧に撮ってきて、そこまで重要じゃなさそうなメモ的写真は全部スマホで終わらせたらどうでしょう。帰ってきて1本フィルム余るくらいの撮り方で用が足りるなら、現像代とフィルム代合わせて5000円前後くらい。現像してCD焼いて終わりにするならもうちょい安くなりますよね。カメラの初期コストが低く抑えられるなら「まあ高いけどわかる」ラインとも言えません?

「数撮るのはスマホに投げる」というデジカメ黎明期にはできなかった芸当のおかげで、実はフィルムに対する敷居も下がっていると言えなくもない!ような!たぶん気のせいだけどそういうことにしたい!

あと、カラーで撮らないって手もあるよね

正直昔を知ってると「店頭でカラーフィルム買おうとしたら2000円消える」ってのはちょっと怯むものがあるんですわ。実際リバーサルフィルムなんてちょっと覚悟しないと手を出せない価格になってますし、処理にかかる時間も以前のように「プロラボの窓口に出してお茶飲んで待つ」とかは無理な話になってて。

であればだ。どうせ時間かかるのは一緒と考えて、黒白メインで撮ったらどうでしょう。黒白フィルムならまだギリギリ1000円前後くらいで買えます。本当は自分で処理したほうがたのしいし安いけど、そこはあとのお楽しみにしてラボに出して待つこと一週間くらい。ちょうど「何撮ったっけ」くらいになった頃合いで「カラーでは見たことのない世界」の写真が手元に残るの、案外楽しくないすか。

あと、黒白で撮るメリットとして「スキャンが比較的やりやすい」というのもあります。単純な反転である程度絵として見えますからね。なんならスマホでやったっていい。凝ったらなんぼでも凝れるけど、まずは「思ってたより案外敷居が低いかも」というところを体験してみませんか。単純に物理で手元に残るの、楽しいっすよ。